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お知らせ

ー児童保護のアセスメントワークショップを終えてー

一般社団法人国際ソーシャルワーク協会(AISW)は、2025年1月11日~13日、ベトナムのダナン大学科学教育学部(The University of science and Education-UED)と共催で、児童保護のアセスメントに関する研修会を開催した。地域のソーシャルワーカー、ソーシャルワーク学・心理学教員、学生など約35人がダナン大学教室での研修会に参加した。講師陣には、政府(保健福祉省)の専門家、ダナン大学心理学科教員の他、インド、日本、アメリカ合衆国の児童福祉専門家を招聘し、各国の児童保護の法律・制度・実践について英語とベトナム語両方の言語で講義と演習が行われた。

地域のソーシャルワーカー、ソーシャルワーク学・心理学教員、学生など約35人がダナン大学教室での研修会に参加した。講師陣には、政府(保健福祉省)の専門家、ダナン大学心理学科教員の他、インド、日本、アメリカ合衆国の児童福祉専門家を招聘し、各国の児童保護の法律・制度・実践について英語とベトナム語両方の言語で講義と演習が行われた。

2日目の演習では、参加者がグループに分かれ、提示された児童虐待の事例を皆で検討し、グループごとに発表を行った。特に、ベトナム政府が使っている児童保護のアセスメントシートと主催者側が提示したアセスメントシートとを比較し、意見を聞いた。3日目は、社会見学で、地域のソーシャルワークセンターを見学し、実際のソーシャルワーカーに児童虐待や最近の児童の問題や電話相談の内容などの話を聞いた。1日目の夜は、懇親会が開催され、各国の民族衣装を着た参加者が、各国の歌や踊りを披露し、国際交流が盛んに行われた。

およそ1年間の企画・準備期間を経て、ベトナムで児童保護をテーマにソーシャルワーカーへの研修を実施できたことは大きな成果だったと思う。ワークショップのプログラム企画には、ベトナムのワーカー・教員からなる委員会のメンバーと我々AISWの役員や講師、時として、派遣予定の講師など、毎月数名が出席するオンライン会議で議論を重ねた。特に苦労したのは、検討すべき事例の内容であった。日本チームは年少の児童が家庭内で親から虐待を受けるケースをイメージしたのに対し、ベトナムからは、10代の児童労働の子どもの事例を提案してきた。最終的に、ベトナムの3歳の女児が独身男性に養子縁組され、虐待されるという事例に決まったが、日本やアメリカ合衆国の講師からは、こうした養子縁組はそもそも日本やアメリカでは許可されないとの意見が出た。それぞれの文化・社会の文脈を踏まえ、議論することで、文化的見解の違いに気づかされた。アセスメントシートの評価に関しては、参加者より他国の例を参考に提案した我々のシートの方が既存の政府のシートに比べ、子どもの背景や心理、文化などについて考えるので、参考になるとの意見が出された。今後、議論の内容をさらに分析し、児童保護のアセスメントの実践に関して提案していきたい。

今回のワークショップの開催に際し、ベトナムチームのワーカー、ダナン大学の教員、学生、参加協力していただいた講師陣に深く感謝したい。 (AISW副会長 平田 美智子)

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